金一志韓国伝統芸術院

KIM IRU CHI

山口県 萩を訪ねて   身近な韓国、朝鮮 その3 

身近な韓国・朝鮮を考えるコーナーを会報に掲載しています。今回は第4号から転載します。

福岡まで行く機会があり、せっかくだからと車で出発し、片道560キロメートルの長い長い道のりを運転して(と言っても私は横で眠くならないようにおしゃべりをするだけですが)、その帰りに山口県の萩まで足を伸ばしました。
 「萩焼き」で有名なことくらいしかイメージがなかったのですが、初めて訪れた萩の町は、現在の日本と韓国、朝鮮の関係を決定づける大切な土地だと知りました。

 日本が韓国に先駆けて西欧化、近代化に踏み出した明治維新は韓国でも学校で習いました。その明治維新発祥の地とでもいうのが萩市でした。市内を歩いてみると、吉田松陰とその門下生であった木戸孝允(桂小五郎)、高杉晋作、伊藤博文など、私でも名前は聞き覚えのある人物の旧家、史跡がいたるところにあり、当時の新しい日本を作った時代の息吹を感じました。
 市役所の向かいにある京都ホテルオークラの正面に木戸孝允の像があるのをご存知ですか? ここは、長州藩邸の跡地だそうで、打合せに行った京都ホテルで桂小五郎さんと思わぬ再会となりました。

 今の千円札は夏目漱石ですが、私が日本に来た頃に使われていた千円札は伊藤博文でした。千円札の顔にも韓国と日本の歴史と、関係が微妙に反映しているのでしょうね。韓国統監府(後の朝鮮総督府)初代統監の伊藤博文が朝鮮半島で手に入れた高麗青磁は数千点といわれ、日本人が持ち帰ったものは二万点とも三万点とも言われています。
 それを考えると、千円札の顔が変わったことに韓国と日本の関係がいい方向に着実に変わってきていることを感じるのは私だけでしょうか。 歴史の変化や発展は長い眼でみなくてはいけませんね。そんなことを考えさせる萩訪問でした